2015.12.08 update
かつての映画大国であるイタリア映画界が、
近年復活の兆しを見せています。
誰もが楽しめるライトなコメディから重厚なヒューマンドラマ、
さらに監督の個性が色濃く出たアートフィルムまで取り揃う充実ぶり。
個人的には、『湖のほとりで』(2007)、
『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』(2008)、『ゴモラ』(2008)、
『眠れる美女』(2012)、『グレート・ビューティ/追憶のローマ』(2013)という
個性派監督が作った作品がお気に入りなのですが、
じつはこれらすべての作品に主演しているのが、
『ローマに消えた男』の主演俳優トニ・セルヴィッロ。
やるせない想いを抱えた警部役や、絶対的な権力を利用した大物政治家役、
そしてちょいワルおやじ風なルックスで円熟のダンディズムを披露したりと、
ほんとこの人は不思議な魅力で、人の心を惹きつけて離しません。
そんな"イタリアの至宝"が、
今作ではなんと一人二役を演じているのです!
失踪した気弱な大物政治家と、
彼の替え玉として起用された自信に満ち溢れた双子の兄弟。
これは、面白くないわけがない!
仮に物語がイマイチだったとしても、
セルヴィッロの演技だけでモトがとれると思っていたら、
これが映画としても非常に見応えがあって
おもしろかったのです。
政治ドラマとしての重厚感もキープしつつ、
決して話がシリアス一辺倒にはならず、
ユーモアを交えてドラマを語ってくれるため、
ストーリーに入っていきやすいのです。
政治的背景がわからなくても楽しめますのでご安心を。
テンポもよかった。
そしてお目当のセルヴィッロは、
個性の違いを出しつつも、双子であるという芯の部分はしっかり表現できていて、
もう、見応え十分でした。
やはり、トニ・セルヴィッロ出演作にハズレなし!