2015.12.18 update
ウディ・アレン『アニー・ホール』の中で、
登場人物がカメラ目線で観客に語りかける場面を覚えてますか?
あの、映画ではタブーとされている手法を
『メニルモンタン〜』は、大胆にも何度も繰り返し使用します。
さらに映像媒体もさまざまで、
8ミリビデオ、16ミリフィルム、4K解像度、デジタルビデオまで、
自由気ままなスタイルで作られているのです。
最初の数分間、この実験的な手法に違和感を感じ、
なかなか映画の世界になじめなかったのですが、
しばらくすると、この独特の映像リズムが逆に心地よくなってきて、
気がつくと、ぼくはこの不思議な作品世界の虜になっていました。
自分の感覚から映画を観るのではなく、
映画の世界に寄り添っていく感じが、心地よかった。
『赤い風船』の舞台にもなったメニルモンタンや、
スイスの小さな村のクリスマスなどのロケーションも素晴らしかった。
そしてジャド・アパトー、ロベール・ブレッソン、
『ウォーキング・デッド』、ムンクの絵画からジョイ・ディビジョンまで、
さまざまなカルチャーの引用にも心をくすぐられました。
他愛のないボーイ・ミーツ・ガールの話を、
ここまでクリエイティブかつ共感できる物語に仕上げた
セバスチャン・ベベデール監督に大きな拍手を!